sheets of BUCK-TICK (TOUR2020 ABRACADABRA ON SCREEN)

イントロダクション(ばかみたいに長い)

今年、この2020年という年も気がつけば9月の終わり。

昨年末は日本武道館がオリンピックのあおりを受けて使えず国立代々木競技場第一体育館に場所を移してではあったけれど12月29日にThe Day in Questionは行われたし、終演後には翌月発売されるシングル『堕天使』のMVが公開されるってんで滑り込んだ中華料理屋のテーブルで友達と一緒にスマホの画面にかじりついてわーきゃーしてたのだ。

それが今年に入ってどうやらChinaで新型ウイルスが大流行してるらしいという話が聞こえ出して(春節どうすんの)と思うまもなくなし崩し的にだばだば旅行者がやってきてはドラッグストアでマスクを買い漁っていくという光景を目の当たりにしたりして(こりゃあかん)とか思ってたら程なくしてダイヤモンド・プリンセス号での感染が取り沙汰されるようになって。

それでもまだこの段階ではどこか現実的というか我が身のことではないような、そのうち収束されるんじゃないの的な、そんな感じでぼんやりしてたような気がするのだが、3月にはもうクラスターという言葉も当たり前に聞かれるようになってきていたような気がするし、”自粛要請”だなんて言葉が連日報道されては人が多く集まるテーマパークや商業施設が次々と休業していって、やれテレワークだ在宅勤務だと世の中の何もかもが縮小傾向になっていって、政府が緊急事態宣言を発令したのは4月に入ってからで。

3月末の会報で何らかのアナウンスがあって欲しいと思っていたけれどそれはなくて、5月から6月にかけて予定されていたFISH TANKer’s and LOVE & MEDIA PORTABLE ONLY LIVEの二次募集も行われていてその時点では開催する方向で準備しているとあったけれど、4月13日に公演延期が発表されてもの凄くほっとしたのだった。

その後、緊急事態宣言の期限が延長されたり解除されたりお店がどんどん閉店していったり、世の中がざわざわざわざわし続ける中、星野英彦の誕生日を目前に控えた6月13日、ニューシングル『MOONLIGHT ESCAPE』が8月26日にリリースされることが発表されたのだ。ベールやマスクを伴って現れた新しいアーティスト写真とともに。

5月からずっとニコ生やYoutubeで過去のコンサートの映像配信が定期的にありメンバーがブログやインスタで反応していたりもしていて、あーライブ行きてえーーーとなんともいえない気持ちになったり、2018年に公開された映画「猫企画」の”円盤化”が発表されたり、何かと慌ただしくはあったのだけれども。

レコーディングの中断と再開についてはやはりメンバーのブログやインスタがいい感じに教えてくれていて、ステイホームしてんのかーとか絵が上手くなったなーとか写真下手くそだなーとか思いつつ見るたびに安心してはいたけれど、いよいよシングルが出る、ということはアルバムが出る。

で、このあとどうすんの。

延期になっているONLY LIVEはそのままだし、映画館や劇場での興行は再開されてはいるものの、座席の間隔を空けて・発声は禁止・公演中はマスク着用、というスタイルで、そんな状態で新譜のツアーやるのか、やれるのか、いやそれはないだろう、でもしかし、というやきもき状態だったのだけれど。

いつもより少し遅れて7月中旬に発送された会報にはレコーディング中のメンバーの姿と9月にアルバムが発売されること、そのタイトルが『ABRACADABRA』であること、そしてアルバムツアー開催が予定されているという一文が載っており、7月22日には、33回目のデビュー日である9月21日にアルバムがリリースされることが、追って8月6日には会員向けにツアーの詳細がアナウンスされ翌8月7日には一般向けにもその情報が公開されて。

フィルムコンサートツアー。通常のコンサートツアーでの音響機材を使った臨場感溢れるステージ。全国23会場、47回の上演……想像がつくようなつかないような、嬉しい、でも切ない、でも嬉しい。

そうこうするうち「凍える」のタイアップが発表されて、アニイの誕生日があって、39枚目のシングル『MOONLIGHT ESCAPE』の発売日に新しいアーティスト写真が公開されて、

かっこいいなあ……と惚れ惚れしていた矢先。

週明けの8月31日、Twitterで続々とBUCK-TICKの看板見つけた!との報があがり、また広告出してるのかあ、にしてもやたらデザインがシンプルだね?とか思っていたら、明けて9月1日。

都内35箇所?!え、意味深?いや、どう探せばいいんですかそんなに。と困惑してたら各種リテラシー高い組がうまいこと見当つけてくれたのと駅構内での発見もあったので町に駅にと捜索隊が跋扈、ファンではない人からの親切な報告もありつつ、見つけてもらえないすみっコ広告を出してはならぬ……との意気込みで、9月3日には全ての#BUCKTICK921が発見された。

”意味深”の内容については早くも9月2日に公表されてズコーとならないでもなかったけれど、その内容はまたサプライズに満ちていて。

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、5月・6月に予定していたファンクラブ・モバイル会員向けのコンサートツアーが延期となり、

いつライブができるのか見えない中、メンバーの要望で、ニューアルバムの曲を生配信でいち早く披露することが決定いたしました。

https://buck-tick.com/news/detail/10878/

フィルムコンサートやるっていうのに、チケット絶賛発売中だっていうのに(察してください)、生配信しちゃうんだ……してくれちゃうんだ。

アルバム発売日の9月21日は月曜日で敬老の日で祝日、翌22日も秋分の日で祝日、人によっては四連休というこのタイミングでのこの発表はまさに祭り。畳みかけるように9月9日にはアルバム収録曲「ユリイカ」の先行配信やらBUCK-TICK仕様のアナログプレーヤーとカセットテーププレーヤーの発売発表やら(一次も二次も即完売)、これをてんやわんやと言わずして何と言う。

そして迎えた9月21日。アナログレコード、カセットテープ、CD、ハイレゾ配信、ダウンロード・ストリーミングサービスと、どの販売形態でもフラゲ不可だったニューアルバム『ABRACADABRA』がベールを脱いだ。

生配信の詳細についてはおいておくけれども、演奏もトラブルなく全編つつがなく終了し、全力でそこにいるメンバーがいることが嬉しくて、新作を即ライブで聞けることが楽しくて、これが今までみたいなコンサートでは味わえないことがもどかしくて、この思いが同じ空気の中で伝えられないのがやるせなくて、という、何とも言えない心持ちで。

でもこれで終わりじゃない、ここからまた長いツアーが始まるんだ、直接は会えなくても確かめられるものがきっとある。そんな感じでフィルムコンサート初日を迎えたのです。

開演前

BUCK-TICKのコンサートと言えば雨が常だった。それがここ数年は晴れていることが多くて、変わったなあ……と思うことしきりだったのが今日は朝から雨。空気も冷たく、ほんとにいきなり秋になったなあという印象。

「とある自治体の感染対策」バナーフラッグ(白井黒子バージョン)
「とある自治体の感染対策」バナーフラッグ(白井黒子バージョン)

会場の立川ステージガーデンは今年4月にオープンしたばかりの新しい施設だそうで、この辺り一帯がGREEN SPRINGS(グリーンスプリングス)と呼ばれる新街区なんですね。事前情報一切見ずに行っちゃったけど通りの雰囲気が統一されたおしゃれ感だしステージガーデンのトイレと商業施設のトイレが同じだった。緑がいっぱいでベンチも飲食店もコンビニもあって、晴れてたら賑わうんだろうなあ。

物販は全て事前予約で受取時間を区切っての販売、入場も座席位置による時間指定で密を避ける対策だけれども会場周辺ではみんなほどほどにわいわいしてます。雨が幸いして、というか。グッズの受け取りも入場時も身分証明書の提示を求められることはサイトに書かれてあったけれども読まない人は読まないよな。忘れて入れない人とかいなかったのかしらん。

物販、入り口のスタッフさんが手をアルコール消毒してくれて入場、足元のマットにも消毒している旨の記載。売場ではビニールシートの向こうに販売の人がいて、なるべく発声は控えた方がいいかなと予約番号と身分証明書を見せて商品の確認もふんふん頷いて一言も発しないで済ませましたが周りはそうでもなかったかな、普通にやりとりしてる人も多かった。時間が区切られているから行列はないし、販売会場の中も人は少ないし、決済済みだから予約したものを受け取るだけだし、このシステムはいいな……ランダムアイテムはどうなんだろうな、欲しいものが一度で揃わなくても後の公演なり通販なりで入手できるからいいのかな。ただ、物販は購入時点で受取時間を選べるけれど座席による入場時間の案内が公演当日って。電子チケットでは座席表示は公演10日前だったけど、どういう順番で入場させるのかわからないから変に時間が空くのもなあ。今後はどうなるかな。

で、今回初めて電子チケットを購入して、トラブルあったらどうしようとどきどきだったけれど問題はなく。画面を見せて、でかいハンコ様の機械で画面にスタンプポン。すると、おお、印がついた。なんかおしゃれ。メモリアルチケットは後日郵送なのね、ちゃんと読んでなくて中の人に聞いてしまった、すみませんでした。アンケートがないのはわかっていたけれど、フライヤーもないんだな……。

会場の詳細も何も見ずに行ってしまったので、さて座席……となったところで気がついた、ここ、コンサートホールではないんだな。一階はスタンディング対応の可動席でホールのシートではないの。これがいつものコンサートならずっと立つからなんでもないんだけど今回はフィルムコンサート、立つなとは言われてないけど自分も周りも座って見てたので、まあ、揺れというか振動というか伝わるんだわ容赦なく。着席でも曲聞いたら体動くじゃん、揺れるじゃん。こればっかりはにんともかんとも……しゃあない。もうそういうもんだと思うしかない。あと、入場扉が少ないのね。今回は前後左右は空席という指定席かつ規制退場だったので混雑はなかったけれど、みっしり人が入ったら大変だろうなと思いました、非常時なんかね。

立川ステージガーデン1階座席表
立川ステージガーデン1階座席表

座席に向かう前にトイレ……と思ったら、いやまあなんかデザインがおしゃれで、男女の別もよく見ないとおおってなりそうだし入口と出口が別になってる設計なんだけど、ぱっと見、わからない。「入口」「出口」って書いてほしい。最近こういうデザイン多いよなあ、ユニバーサルデザインとは。

でトイレに入っていたらば突如大音量で流れるあっちゃんの声。びっくりしたあ……これ、15分おきにトレーラーが流れてたのね、場内のスクリーンでは映像も。時報だったのか。

BUCK-TICK 『TOUR2020 ABRACADABRA ON SCREEN』トレーラー

どぎまぎしつつ入場、おお、ステージには一面どかーんとスクリーン、on screenのロゴがアルバムジャケットの色調で。あとはセットもなにもない。1階後方と2階前方はつながってるように見えるくらいの高さで2階前方にはPA卓、胸がきゅっとなる。そわそわしていてBGMの記憶がない、なにかふわっとした感じの音楽だった気がする……で、いつもなら開演15分前には場内アナウンスがあるけれど時間になっても何もなし、ステージ上を甲斐甲斐しく行き交うスタッフさんの姿も当然ないわけで、なんだかさみしいなと思いつつ座席のがたつき具合を確かめていたら多分開演時間ジャストに場内アナウンスが始まった。あっちゃんの声で。ゆっくり、丁寧に、一語一語を読み上げるあっちゃん。ところどころ緩急をつけて溜めを作ったり、優しく、諭すように。その全てに頷きつつ、噛み締めつつ、こういうところも”らしいな”と思いつつ。これが盤になる時はここもまるっと収録して欲しいなあ、みんなついつい途中で拍手しちゃうしね。あっちゃんの語りかけてくれた言葉、余さず聞きたい。そんなアナウンスの後、客電が落ちて開演。

本編

ふわあ……アルバムでは「PEACE」が1曲目だけれど全曲試聴トレーラーは「ケセラセラ エレジー」で始まっていて実際アルバム聞いても「ケセラセラ エレジー」のオープニング感すごいし、とは言えlive on the netでは「PEACE」始まりだったし、どっちでくるかな……と思っていたのだけれど果たしてオープニングは「PEACE」。キラキラした音が降り注いでくる、と同時にスクリーンに映し出されるのはステージ、それに被さるようにして、火の粉の竜?光の粒の渦?CGすごいな……後はもうよく覚えてないんだけど万華鏡みたいにめくるめくような映像、中東的なモチーフのCGが繰り出される中、魔法のランプ(カレーを入れるソースポットみたいなアレ)が出てきちゃってランプの口から煙が吹き出してきちゃって、(ここからメンバー出てきたらどうしよう)と思ってたら普通に下手袖から登場してきたのでちょっとほっとした。あっちゃんはステージ後方からだったかな。

スクリーンに映し出されたステージはとてもシンプルでセットらしいセットは見当たらず。アニイとユータのいる台はいつもみたいに高くなっててセンターが階段になってるところも同じ。目を白黒させてる間に「PEACE」が終わって、次の曲が。うわああ……「月の砂漠」。客席が砂漠に埋まる。圧倒的な音。音の洪水……こんな大きいところでこんな大きい音を浴びるのは久しぶりというのもあるけれど、紛れもなく最新型のバクチクの音が目の前にある、この上なく固い決意のようなものを真正面から全身に浴びせられる感覚……凄い……今回のフィルムコンサートが、いつも通りのコンサートツアーができないからその代わりにというのではなく、フィルムコンサートだからこそ存分にやってやろうと、そういう、半ば怒りのような熱さでここにある、そういう感じ……

そこからの曲順は覚えてないけれど、1曲目2曲目ではステージの床が黒くて、あら、と思っていたらそっからまー凄かったこと、これ一面LEDスクリーンで。効果がすっごいの。「SOPHIA DREAM」では怪しいダイヤモンドが現れたし、出色だったのは「URAHARA-JUKU」で、アスファルトに叩きつける雨、小娘を飲み込もうとする禍々しい闇、凄惨とも壮絶とも言えるラスト……櫻井P凄いな。櫻井敦司をプロデュースさせたらあっちゃんの右に出るものはいない。『ロクス・ソルスの獣たち』での「相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり」で見せたとんでもないプロデュースっぷりが更に炸裂してる。凄い……。別の意味で出色だったのが「舞夢マイム」、ステージ後方のスクリーンに映し出されるはバーチャルネオン街、なんだけど、その看板が悉くナニでアレ。「ユリイカ」「ロマンス」「エルドラド」「ムーンライト」「イブ」「ルナ」「アダム」、もっともっとあった。すっごいな……すっごい。目が何を見ればいいのかわからない。この人たちはセルフパロディというやつをまったく秀逸な形でやりよるよね……センターで演じる櫻井さんときたら「経験」の辺見マリや「絹の靴下」の夏木マリも斯くやとばかりのフィンガーアクションで”悩殺 秒殺”。ふぉー。メンバーは真顔で演奏してるしお色気映像も出てくるしもうどうしたらいいのこれいいぞもっとやれ。「ダンス天国」はサイケデリック、「獣たちの夜 YOW-ROW ver.」に「堕天使 YOW-ROW ver.」は容赦なしのデジデジ爆裂でこれで踊るなというのは酷。床から妙なものがにゅーっと生えてきたのはなんだったかな、あれがARというやつ、なの?「MOONLIGHT ESCAPE」はモノトーンのバックが意外、「ケセラセラ エレジー」の”ファファファファ”、”ララララ”はlive on the netでも披露されたけど、映像見て(そっかー)ってなったよね。見てわかる種明かしって結構ある。見るまでもないというか絶対やるよねと思ったのは「凍える」の”ねんねんころり”、めっちゃ寝かしつけてる……あーこの安心感。ここがホーム。「Villain」は気味悪さを全面に押し出した演出、live on the netではラストあっちゃんが両手で顔を覆うようにして見せたけどon screenでは未遂に終わったような。これまではツアーが進んでいくうちに色々練り上げていってたものが、今回はこれで完結しなければならないのだから緊張感と集中力は只事ではないよな……そこで実施されたあの生配信は本当に特別なものだったんだとつくづく思う。「ユリイカ」はloveとyeahとpeaceが乱舞して涙でぐちゃぐちゃ。「忘却」はやはり圧倒的な音の力で、これでおしまい……と思いきやもう1曲、「Luna Park」。ああ……こういうところがこの人たちらしいなあ……とてつもなく律儀。2020年に発表した曲を全て演奏して本編は終了。

アンコール

スクリーンが暗転して客電がついて、あっちゃんのアナウンス。これからアンコールまで15分の換気時間、なるほど。ここまで1時間と少しか。昼の部の公演ではこの時周囲からすすり泣きの音が聞こえてきて、ド派手なお通夜かよ!と思ったけどそういう自分もぐすぐすしていた。だって、ねえ。気持ちが伝わってくるの、楽しませたい、存分にやりたいって。それを感じれば感じるほど、嬉しくなって切なくなって涙が出てくる。なんだろうなこの経験。アンコール開始5分前にはもう一度アナウンス、焦らないでね、とか、もう。

アンコールはこれもまた覚えていないけれど、「FUTURE SONG – 未来が通る -」「MISTY ZONE」「Madman Blues -ミナシ児ノ憂鬱-」「ROMANCE」「GIRL」「NEW WORLD」、もっとあった気がする。間を空けずにだーっと。アンコールというか第二部だ。

FUTURE SONGはねえ、やるよね。「ケセラセラ エレジー」の”うっはっ”とは違うなーと改めて感じたり。

で、ロマンス。炎。蝋燭の炎。いつものお道具エリアに燭台、センターで椅子に腰掛けたあっちゃんの周り、ステージ一面にキャンドルポット。ステージだけでなく、観客のいないフロアにも。たくさん。CGじゃなくて、炎が揺れてる……ああ、これは普段のステージでは決してできないことだ……フィルムコンサートだからこそやれること、それがこんな形で。演出としても本当にうっとりするような場面だけれど、なんだか、この炎ひとつひとつが魂というか、ここにいられないみんなの人形ひとがたというか、そんなふうに思えて、込み上げてくる。

GIRLはなんとなくやるかもなという感じがしてた、”忘れてしまいたくなるようなこと 世界が崩れそうな そんなことばかりじゃないはずだろう”、”君を見ていると何だかそう とてもいい予感がするんだ”……願い。

NEW WORLDはなんだかアンセムみたいになっちゃったなあ。このイントロ聞くとぶわっとなっちゃうようになってしまったよ、今井さん。ギターズのクロスチェンジに割れるあっちゃんの声……全てを全身で浴びる。

諸々

終演後、記憶を辿りつつオープニングの話をしていると友達が、「魔法のランプが出てきたよね、わたしたち魔法にかけられたの?」と。そっかあ……そうだなあ、夢のような魔法だ。ここにいないのにいるんだもん。限りない優しさと圧倒的な意志で。

sheets of soundという言葉があるんだそうで、これを聞いたのは吉増剛造さんと大友良英さんが共演した朝日カルチャーセンター新宿の講座で(この時のおふたりのセッションは物凄かった、sheets of 吉友という感じで )、そのときはただほえーと惚けているだけだったけれども、この、sheets of sound、敷きつめられた音、音の洪水という表現はなんだかいいなと思ってずっと心に留めていた。

今日のはまさにsheets of BUCK-TICKだった、愛も、強さも、憤りも、憂いも、希望も絶望も、闇も光も、果てしない優しさも。バクチクというバクチクが押し寄せてきて自分を埋めつくす、喉の奥までバクチクで埋まる。なんて幸せ、なんて淋しい、なんて……。音を聞くだに思うけれど、外でもない、きらきらおめめで世界を見つめているのはこの人たち自身ではあるまいか。その真っ直ぐさ、普通ではあり得ないようなピュアさ加減に触れるのは殆ど打ちのめされるような感覚に近いけれども、それがこの人たちなのだ。メジャーデビュー33年、そのくらい経てば誰だってくたびれたり擦れたり汚れたりしてもおかしくないのだ、それがこの人たちはどうだ。きらきらきらきらしたまんま、なんだかでっかくなってる。しなやかになってる。深さが増してる。それを、こんな形で体感してしまう……なんという……。

音はよかったー、普段と違って座っているからか体で感じてる感が強い。照明はフルセットではないけれど欲しいところできてくれる感じが気持ちよかった。それがこんなツアートラックで全国を回るんだ。

医療関係者だったり、家族の介護だったり、自分の体調だったりで会場に足を運べない人が多くいるのは承知の上でのことだろう、でも、今できることを最大限にやってみせたこの人たちのことが本当に好きだ。どうかいいツアーになりますように。

追記

あっちゃんの衣装ね、自分は安寿と厨子王を連想したけれど、養蜂家と言ってる人もいて、うん、まあ、そんな感じでしたですよです。

追記2

アンコール、「世界は闇で満ちている」もやった。

アンコール後もアナウンスあった、ね。

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