2024-12-29 九段下(BUCK-TICK「ナイショの薔薇の下」 at 日本武道館)
友達が16:30にグッズ受取予約をしているのでそれに間に合うくらいのタイミングで東西線落合駅に赴くと改札に看板、この駅で発生した人身事故のため現在高田馬場と西船橋の間で折り返し運転をしているという。この駅で。暫し呆然とするもどうやって九段下まで行くか考え行かなければならない。バスは年末ダイヤでろくすっぽ通っていない、車を捕まえてももし道が混んでいて進まなかったら?障害を回避できる気がしない。希望的観測は捨てる。取り敢えず高野馬場方面に向かって歩くと別の落合駅入口付近に救急車が一台と夥しい数の(と思えた)消防車。小火でもあったのかと思ったがそうではないんだろう、人身事故でも消防車が出るのか……立ち働く消防署員の横を通り過ぎひたすら歩く。小滝橋のバス営業所から高田馬場方面に向かうバスがちょうど出て行ったところでもういいや歩いちゃえ、となる。歩くのはいい。歩を進めればどこかには着くから。16:30に間に合わないのは確定だが開演に間にあれば上出来と思うことにする。高田馬場駅のホームに着くと、臨時ダイヤでの運行を狙ってか撮り鉄とおぼしきガイズがカメラを手にして入線を待ち構えている。到着した車両はほどなくして西船橋に向かって動き出した。どうかこのまま着いてくれと無言で願う。このまま。無事で。
九段下について外に出るともう外が暗い。着席したのは開演5分前くらいで、まあまだ始まらないもんねと言っていた矢先に客電が落ちた。びっくりした。5分も押してない。
新譜は一聴して「なげえな」と思ってしまってその後二度三度と聞いてもとにかく長い、その上開口一番「俺たちは独りじゃない」と言われてため息しか出てこないという状況で、それでも武道館では何か面白いことをやるんじゃないかと少しだけ考えていたのだけれど、ステージ奥のスクリーンが4つに分かれているのを見た時にもう確実に何かが終わっているのだと思った、いいとか悪いとかではなくて終わっているのだ、そう思った。1曲目が終わって今井がギターを外してスタッフに手渡す、そのまま立ち位置に戻ったのを見て、あ?と思ったらハンドマイクで動き出して……そうなるのかと思った。ファンクラブ限定のスタンディングは見ていないのだけれどずっとそうだったらしい、マイクを手にして歌って動いてよく喋った。本編には旧曲も織り込まれていて、17曲もある新譜からは演奏されない曲もあるのかなと思った、流れがよくわからない、そうこうするうち、聞き覚えのあるイントロ、ああ、こっちの薔薇をやるのかと思った、そうしたら周囲が一斉に、まるで申し合わせでもしたかのように、タオルやハンカチを取り出しているのだった、鼻をすする音も聞こえる、どうしたんだろうと思った、後から聞いたら、もう聞くことがないと思っていた曲が聞けたのだそれでなんとも思わないのかと言われた、そうなのか……。
https://www.threads.net/@kemonorare/post/DEPWkaEydm7
イントロそのまんまで あーこれやるのかーって思って なんか 時間も感情も止まったみたいになって
鹿児島の後もツアーは続いたし概ねなんにもなくて このころは地方はどこも半分埋まるかどうかで平日は特にそうで おかげでどこに行ってもひと桁列なんてざらで でもどこに行っても楽しかった それでもやっぱりLong Distance Callと王国では体を硬くして聞いてしまっていて
追加公演のこのNKホールのLong Distance Callで台に腰かけた時 その時の空気 自分とステージの間に割って入ったカメラマン 全部覚えてる
王国まで無事に終わって アンコールで出てきたときの感じがまだ少し緊張を残しているけれどやっぱりひとつ力が抜けたようで そういう空気でこの曲が始まって その時やっと もう大丈夫だって思えた気がしてた アンコールがこれでよかったなって
そういうことを思い返していた あの中で
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全編通して終わりまで見て、終始、頑張ってるなあという感想しか出てこない。その頑張ってる姿に感激したり感動したりしている人たちが手を上げたり声を上げたりしている中で自分はただこの一年とかあれからのこととかあれまでのこととかを思い出したりしてずっとぼんやりしていた気がする。それでも、それはこの日ここに来てここで体感するしかなかった。体得するしかなかった。いいも悪いもない。何もない。
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