AIかあ

NHKでやってたAI番組見たんで。

AIは人間を超えるか – 知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!? – NHK

ここ数年であっという間に猫も杓子もAIみたいになってきて、自分にはなんかちょっと違うなと思ってまったく触らずにきたんだけど、このところ凄い勢いで進歩しているらしいとか、小説の執筆にAIを活用している人がいるとか、そういう話題をちょくちょく目にするようになってきてて。で、「割と評判がいいらしい」というこの番組を見てみた、という流れで。

番組始まってまず思ったのが、今のアナウンサーさんってずいぶんタレントみたいなんだなと。役者さんだったのか……殆どテレビ見ないから知らなかった。

【土曜夜の新番組】タモリ&山中伸弥コンビに吉岡里帆が加わりAIを深掘り 総合 – 知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!? – NHK

この吉岡さんがよかった。NHKの番組に出演する女性って、妙に自分を良く見せようとしたり、逆にやたらとアシスタント的な役回りに徹しようとして面白くもなんともなくなってたり、あんまりいい印象を持つことがないんだけどこの番組での吉岡さんは「スタッフの方には「いち視聴者の目線で素朴な疑問を投げかけてほしい」と言われて」いたようで、番組の内容と流れと雰囲気とを把握しながら自然に入っていたなあと。何目線だ自分。

番組そのものについては、面白く作ってあるなあという印象。今回取り上げられていたのは主に言語分野で、生成AIも対話型AIも取り上げられていたと思うけど、そういった用語解説には殆ど踏み込まずに興味を引く事例をぽんぽんと羅列していった感じで、一般の人にわかりやすく、この番組を見たことで何かがわかったつもりになるような、そんな印象。こういうところは面白かったけどな、大規模言語モデルの話。

大規模言語モデル 対話型AIの基盤となる技術
一番の特徴は
この単語がくれば次にはこの単語がくる確率が高いという
あくまでも言葉のつながり方を覚えているものにすぎない
ただ次の単語を予測するだけ
その数がけたたましいんです

数が「けたたましい」て。言いたいことはわかりますが。

とまあ、場面ごとに「へえー」と感心させられるこの感じ、何かに似てるなあと思ったら、制作統括が「ためしてガッテン」や「ダーウィンが来た!」を作ってる人だった。

制作統括 白川裕之
SVS(サイエンス映像学会) 理事

全体に通底する「一般の人向け」感、教養番組ではないがバラエティでもない人選と内容の匙加減、民放のひな壇番組みたいな尺(78分)と構成、ずっとワイプで抜かれている出演者、こういう番組作りが好きな人なんだろうか。「知的探求フロンティア」というタイトル自体もそう。

最終的に、人間の脳やべえ、というところに言及して、人間とは何かを知りたい、という目的に帰着したのはなるほどというか(人間の脳は微量な電力しか消費しないのに膨大な情報を処理している、まではあったけど、そこから逆にLLM(大規模言語モデル)が膨大な電力を消費するという観点からの社会的経済的考察なんかは一切なし)。

ちょうどweb上でほむほむのpodcast書き起こしを読んでいて、

穂村:1回だけ生きるとか時間は不可逆であるとか、オスメスが一対でしか繁殖できないとか、そういう摂理と言われるものは神様が一方的に決めているわけで。我々はその決定に参加することはできない。

歌人・穂村弘が語る「生きる」と「生きのびる」の違い。「命の全体像」から見る本当の「コスパ」って? | CINRA

なんていうところに何かしら思ったり思わなかったりしたところでもあったので、摂理とか人智とか、及ぶ及ばない的なものについて思いを致したくなったりしましたよ。つーかそもそもLLMって言語しか学習できないというか、臆面もなく言語化されてきた営為だけを山ほど学ばされるというか、その殆どが解明されていないとも言われる人間の脳のアウトプットのちょびちょびちょっぴりの部分しかなめることができないのではないの。とかとか。

余談。NHKの番組サイトって何年か前に一斉にリニューアルして、それまでは各番組個々にNHKドメイン内で勝手にというか特に決まったフォーマットもなくそれぞれに特色豊かな番組サイトを構築してたんだけど、今は全番組同じテンプレートでどれ見てもwebサイトとしては面白くもなんともない。業者に一括して移行させたんだろうなあって感じで、テンプレートに合致しなさそうなところや今後のメンテが大変そうなコンテンツはばっさり切られた。公共放送のアーカイブとしての側面はなくなったと言っていい。NHK短歌と俳句でオンエアされたオイラのやつもなくなっちゃったの。経費削減なのか知らんが。しょんぼり。

日々